『禾本の丘へ』〜 未草 最終自宅展示会 〜

先日、いつぶりだかわからないくらい、久しぶりに東京へ行ってきました。
東京と言っても、目的地は東京都福生市。米軍ハウスで知られる平屋リノベ好きの聖地。

6月に入ったある日、ポストにある展示会の案内状が届いていた。その丁寧に作られた案内状の表紙に『未草』とあるのを見てピンと来た。「ついにその時が来たか、、」と。

未草の小林夫妻と会ったのは去年の5月のこと。
『工芸の五月』の企画で、小林寛樹さんの彫刻作品を展示していた『方舟展』( ≫ 過去の記事「【工芸の五月】方舟展@池上邸」)を見に行って、初めてお話しできた。僕はそれ以前から、いろんな本などで紹介されている小林さんの作品や住まいの美しさに対するこだわりに強く影響を受けていたが、実際に話をしてみて、その人間性や生き様にさらに魅了されることとなった。

その時に「今住んでいる米軍ハウスも来年あたり取り壊されることが決まっている。」ことを聞いていた。そして「来春に最後の自宅展示会をやるから、よかったら来てください。」とも。

約束通りに届いた先の案内状。大袈裟に言えばこれは男と男の約束。行くしかない。
(いや、案内状が来なくても絶対に見たいから勝手に押し掛けたんですけどね、、)

福生駅から小林邸まで徒歩10分ほどの距離。僕にしては珍しい高揚感を感じながら、本でよく見ていた米軍ハウスに到着すると、小林夫妻が少しの驚きと共に松本からやって来た僕を気持ちよく迎えてくれた。

そこまで広いわけでもない4Kの平屋に、2時間以上は居ただろうか。人の住まいを申し訳ないくらいに隅々まで見て、写真を撮らせてもらいました。リノベーションについて質問をすると細かいところまで丁寧に答えてくれて、忙しいのにありがとうございました。

僕も日頃から、古道具にしても家にしても、オリジナル好きで極力古いまま残す、生かすことを心掛けているが、そんな僕でも「自分だったらここまで残せるかな?」とうなるほどの残しっぷり。しかも、新しく直したり付け足している部分もあるはずなのに、聞かないとわからないくらい空間のすべてが馴染んでいる。絶対真似できないな〜、こんなの。

小林さんの作品や展示は、松本でも見たことがあって、正直今回は9割方『小林邸』を見たくて訪ねたので、家の話ばかりですみません。お二人の作品ももちろん素晴らしいです。
あと二日で終わってしまいますが、行ける方は、ぜひ!

最後に行けて、自分の目で見られて、本当によかった。
ただ、頭では理解するものの、あの家が取り壊されてしまうのは、とても残念でならない、、、。
松本でも最近、古い家が加速度的に壊され続けている。もう半分諦めかけていたが、それを少しでも止めるために今の自分に何ができるか、改めて考えてみよう。

■ 禾本の丘へ 〜 未草 最終自宅展示会 〜

日時: 2015年6月6日(土)〜14日(日)11〜19時
場所: 未草自宅 〒197-0023 東京都福生市志茂185
詳細: ≫ 小林寛樹BLOG

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この家の痕跡をなにか持ち帰りたいと思い、展示品の中から選んだのがこれ。
不思議な“ガラスの塊”。夕日を受けて乱反射している。
大きなレンズの破片のように思えるが、よくわからない。でも僕は確実にこの塊に惹かれたので、それでいい。もちろん燕で売ることはありません。我が家の家宝にします。